野沢尚「反乱のボヤージュ」

私はこういう、個性的な仲間たちがバラバラながら一箇所に集まり、様々な日々を過ごしていくうちに連帯感が高まって、最後に大きな何かに立ち向かう……というような話が基本的に好きなので、この話が嫌いなわけがない。
闘争とかゲバとか、すいません、よく知らない。わからない。そんな私は、主人公クンペーに、舎監である名倉が言い放つところの「あなたたちはただ漂っているだけだ。足音なんて聞こえない」「漂いながら、障害物を避けて通っている。世の中の矛盾を前にしても、まあいいか、と簡単に諦めてしまう。自分の半径二メートルの生活さえ安泰ならばいいと思っている」というのにあてはまる気がします。
それはそれとして、すいすい読めて、面白かったです。