遅ればせながら時雨沢恵一「アリソン」Ⅲ 下巻を読んだ。

キノの旅」の人。
この人の独特な文章や世界観が好みなのである。
わがまま三昧でアクティブで勝気で綺麗な女の子と、優しくて頭が良くてしっかり者の男の子の組み合わせ。王道なんだけど、このアリソンはその王道を突き抜けている感じがあって好み。
妙な偽善が少ないのも、いい。
「人を殺すのは絶対良くない」とか「殺してしまった、もうだめだ、あああ」みたいなのがわりと少ない気がするのは私だけかな。そのへん「キノの旅」とやはり似ているな。これは時雨沢さんの特徴だな。ファンタジーとかアドベンチャーとかジュブナイルでは、やたらとそのような生死への葛藤を持ち出されないほうがいい。

さてそれにしても最後にヴィルが自分を○○○した理由がわからない。
なんとなくわかるような気がするが……しっかり納得が行くわけじゃない。何故だろう。だってもう西も東も正常に交流があるんでしょう? 巻き込みたくない、というのは仰々しい気がする。私の読み込みが浅い確率が高そうなので今度友人と議論します。

金髪で勝気でわがままな女の子と、頭が良くてしっかり者の男の子っていうのでは、こないだ見た大友克洋監督の「スチーム・ボーイ」もそうだったな。ずいぶん女の子側のアビリティが違うけれども。