北村薫「ターン」を読む。

ターン (新潮文庫)

ターン (新潮文庫)

「スキップ」よりは設定がSFチックで好みだったので購入。やっぱりスキップよりはこちらの方がスムーズに入っていけました。「スキップ」は女子高生の心理の描写に無理があったのではないかと推測します。こちらの主人公の女性は年齢が29歳だったので、女子高生よりはまだこちらの方が精神的に近い。
果たしてこれだけ無意味に繰り返す日々の中で正気を保てるのだろうか。これだけ無意味で完全な世界の中で、主人公の家の電話が鳴るところ、そして主人公が柿崎君の車を見かけるところ、この二回の不穏な胸の高鳴りだけで買った意味はある。実際のところ主人公が自分の中の”あの人”を感じるところや泉さんと会話して分かり合っていくところよりも、ただこの繰り返しターンしていく日々という設定にひどい魅力があります。SFだよね。あと、最初の方の二人称は目新しくて面白かったな。