手塚治虫「ミッドナイト」1巻を読む。

最近はこういう文庫版が多くてよいですね。なつかしの漫画が手軽に読める。でも自分が子供の頃(小学生とかの頃)夢中になって読んでいた漫画が普通に文庫化されていると年月を感じてふと寂しくなります。ここはグリーン・ウッドとか、もう一度読みたいなあ。
それはともかく、火の鳥ブラック・ジャックは飽きるほど読んでいるので違うものをと思ったときに、読んだことなかったこのミッドナイトを手にとってしまいました。ぺらぺらとめくると、私の好きそうな設定で思わず購入。深夜のもぐりのタクシー・ドライバーのミッドナイト(手塚先生「もぐり」好きだな) 正義感にあふれつつちょっぴりニヒルで人情味のあふれる若者。一話完結物で読みやすくて、だけど手塚先生のメッセージはつめこまれています。脳死状態に陥った恋人が目覚めるのをずっと待っている彼が、深夜に出会う・まきこまれる・首をつっこむドラマの数々。あまりにもきちんと正しくおさまったストーリーたちなんだけども、それが心地よいのです。手塚先生は言わずとしれた天才だが、こんな風に何年たっても風化しないような作品を書く人は、果たして今の漫画家にいるだろうか。とっさに思いつかないのが悲しいところ。

「夜はいろいろな顔をもっている。その顔をひとつひとつのぞいていく男がいる。その名をミッドナイト」