阿佐ヶ谷スパイダース「悪魔の唄」@下北沢 本多劇場

しばらく前の話になりますが、観劇してまいりました。前々から阿佐ヶ谷スパイダースは見に行きたいと思っていたけど行けていなくて、実は初めてだったのですが、いやあ面白かった!
設定自体は突拍子がない、なにしろ普通の人間が出てこない。ゾンビに幽霊、浮気者の男に頭がおかしくなってしまった女にシスコンの弟。ゾンビが人間を脅すわ、幽霊同士で銃で殺しあうわ、幽霊が人に憑依するわ。これだけ聞くとなんだそのトンデモ劇はって感じですが、全編通して、美術や小道具の素晴らしさもあってかなりの説得力があります。
笑ったりなんとなく胸がつまったり笑ったり考えさせられたり、密度がずしりと濃く全く飽きさせられないままに2時間半が過ぎました。戦争がテーマの一つとしてあるんですが、他にも人と人のすれ違いとか、どうしても分かり合えない溝とか、壊れていく何かとか、一言じゃ言えない深いさまざまなものが含まれています。なのに全く小難しくはないんだよね(ここはエンターテイメントとしてものすごく重要)役者も皆いいし演出もいい。美術にも唸らされる。見に行ってよかった。久々に退屈せず、説得力のあるお芝居を見られて大満足です。